霧走町の人たち — 第一章で会う五人と、亡くなった組合長
The people of Kiribashiri: the five you meet in chapter one, and the dead union chief
D14-2-P28-people-of-kiribashiri・遊ぶ人向け・霧走町 流氷に眠る(遊ぶ人向け)

漁協の組合長が、防波堤で死んでいた。
町にいるのは数人だけ。
全員が互いの顔と暮らしを知っていて、全員が少しずつ、何かを言わずにいる。
この記事は、第一章で会う五人と、亡くなった組合長の紹介です。
肩書きと、人柄と、どこへ行けば会えるか。
遊んでいる途中で「この人は誰だったか」と思ったときに、開いてください。
先に断っておくと、ここには誰が何を隠しているかは書きません。
それは、聞き込みで確かめるところです。
人には立ち絵がありません。
顔は出さず、台詞と地の文だけで書いています。
ここに引く台詞も、すべてゲームの中の文そのままです。
佐伯 — 底引き船の船長(58)#
会える場所: 港と船小屋。
「佐伯が船小屋のそばで、手を動かしている。」
港で網を繕っている、底引き船の船長です。
口数が少なく、返事は短い。
よそ者の刑事を、最初は歓迎しません。
仕事のことを聞くと、短く、正確に答えます。
佐伯「三時だ。暗いうちに出て、昼前には戻る」
佐伯「氷が入っとる今は、出られる日のほうが少ないがな」
暮らしのことを聞くと、少し身構えます。
佐伯「坂の上だ。歩いて十分もかからん」
佐伯「一人だ。……それがどうかしたか」
網の話は、こうです。
佐伯「慣れとる」
「佐伯は手を止めずに、また網に目を落とした。」
手を止めない人です。
話しているあいだも、目は網の目を追っています。
それでも、仕事のことを真面目に聞けば、ときどき返事が早くなります。
刑事「その結び目は、ほどけませんか」
佐伯「ほどけるようなら、魚より先に飯を逃がす」
佐伯は、12年前の海難の生き残りです。
そして、この事件で最初に疑われる人でもあります。
強く迫られると、かえって口を閉ざす。
その構えの内側に何があるのかは、聞き方しだいで見えてきます。
(画像: 港と船小屋の背景)
ハル — 食堂「番屋」の女将(52)#
会える場所: 食堂「番屋」。
「女将のハルが、カウンターの内側に立っている。」
町の人が夜に集まる、食堂の女将です。
面倒見がよく、よく笑い、よそ者の刑事にもまず食べさせようとします。
店の名前の由来を聞くと。
ハル「番屋ってのは、漁の道具を置く小屋のことさ。潰れた小屋を借りてね」
ハル「もう二十年になるかねえ。……早いもんだ」
一人で店を回しています。
ハル「ええ、独りでね。もう長いから、これが普通なの」
「布巾を絞る手が、少しだけ止まった。」
この先のことを聞くと、さらりと言います。
ハル「継ぐ人なんていないよ。……あたしで終わり」
ハル「それでいいの。この町も、そのうち同じだから」
明るく話す人ですが、ときどき、言葉の前で手が止まります。
世話を焼くのと同じ声で、話を切り上げることもある。
何かを言わずにいることは、目の逸らし方で分かります。
何を言わずにいるのかは、ここには書きません。
(画像: 食堂「番屋」の背景)
岬蓮 — 若い漁師・第一発見者(24)#
会える場所: 昼は港の桟橋、夜は食堂「番屋」。
「岬が桟橋で網を干している。」
「岬が隅の席で、湯呑みを両手で包んでいる。」
町で生まれ育った、若い漁師です。
夜釣りの帰りに、防波堤で組合長を見つけました。
見つけた時刻と、通報の時刻のあいだに、40分が空いています。
無口で、こちらの顔をあまり見ません。
宿の主人は、岬のことをこう話します。
源三「岬んとこの子かい。……親父さんが死んでから、一人で網を継いだ子だよ」
源三「悪い子じゃない。無口なだけでね。この町じゃ、無口は損なんだが」
父を海で亡くしています。
父の形見に、木彫りの海鳥があります。
海のことを聞くと、短い言葉の中に、父が出てきます。
岬「怖いですよ。ずっと」
岬「でも、怖くなくなったらもう乗れないと思うんです。親父もそう言ってました」
町を出ることを考えたことはあるか、と聞くと。
岬「……考えたことは、あります」
岬「でも、ここしか知らないので」
(画像: 岬の高台の背景)
堂本 — 町の駐在(45)#
会える場所: 駐在所。
「堂本が机の向こうに座っている。」
町に一人きりの駐在です。
この町に来て、十八年になります。
署が事故として片づけようとしている死に、引っかかりを覚えて、上へ意見を上げた人。
札幌から来た刑事の、町での相棒になります。
訪ねると、まずこう迎えてくれます。
堂本「これはどうも、ご苦労さまです」
丁寧で、穏やか。
記録にあることと、自分の考えとを、分けて話す人です。
暮らしのことを聞くと、こうです。
堂本「番屋でいただくことが多いですなあ。ハルさんの汁は、うまい」
堂本「お茶ですか。どうぞどうぞ、これしか出せませんが」
拳銃のことを聞いたときの答えに、この人の町の見方が出ています。
堂本「訓練場でだけですな。……この町で抜く日が来るとは、思うとりません」
聞き込みに回るのは刑事で、堂本は駐在所で記録と連絡を受け持ちます。
行き詰まったら、駐在所に戻って相談すると、次に当たる先の見当をくれます。
(画像: 駐在所の背景)
源三 — 宿「潮見荘」の主人(67)#
会える場所: 宿「潮見荘」。
「源三が帳場の椅子で新聞を広げている。」
刑事が泊まる宿の主人です。
物語は、この宿の帳場から始まります。
親の代から宿を継いで、長くこの町を帳場から見てきた人です。
家族のことを聞くと。
源三「女房は十年前にな。……息子は札幌だよ」
源三「継ぐ気はないと。まあ、そりゃそうさ」
町の暮らしのことを聞くと。
源三「魚さ。昔はそれで足りたんだよ」
源三「今はねえ。若いのは春になると出て行っちまう」
戸締まりのことを聞くと。
源三「鍵かい。うちは掛けん家だからね。……昔から、そうだよ」
世話好きで、客の暮らしには気が回ります。
一方で、町の出来事を自分から噂して回る人ではありません。
何を知りたいのかをはっきり言えば、帳場から見てきたことを話してくれます。
(画像: 宿「潮見荘」の背景)
戸倉誠一 — 漁協の組合長・被害者(61)#
いる場所: もう、いません。
防波堤の係船柱の根元で、倒れているのが見つかりました。
署は、酔って転んだ事故と見ています。
この人は、画面に一度も出てきません。
どんな人だったかは、町の人の言葉を集めて知るしかありません。
強引だった、と言う人もいる。
名前で呼んで、調書を手元に置いている人もいる。
「堂本は机の脇から綴りを取り、こちらへ向けて開いた。」
堂本「お待ちしとりました。戸倉さんの件の調書です。まだ、わたしの手元に置いとります」
この調書の続きを読むところから、第一章の捜査が始まります。
(画像: 防波堤の背景)
五人のつながり#
小さな町なので、五人の暮らしは、あちこちで重なっています。
岬の手袋は、女将が編んだものです。
岬「これは……もらいものです。ハルさんが編んでくれて」
「指先の擦り切れた手袋。何度も繕った跡がある。」
岬は、釣った魚が余ると、女将の店に置いていきます。
岬「……食べます。余ったら、ハルさんのところに置いていきます」
岬「売るほどは獲れないですよ。遊びなので」
駐在は、女将の店で食事をとることが多い。
宿の主人は、岬が父の網を継いだことを知っている。
誰かが何かを黙ると、そのつながりのどこかで、ほかの誰かも黙ることになる。
誰かを疑うと、その人を知っている別の誰かの口が重くなる。
この町の聞き込みが一筋縄でいかないのは、そのせいです。
そして、刑事#
最後に、この五人に話を聞いて回る人のこと。
札幌の道警本部から、一人で来た刑事です。
内地の生まれで、この町は初めて。
名前も顔もありません。
問いを入力するのはあなたで、その言葉がそのまま刑事の声になります。
丁寧に聞く刑事でも、言葉少なに切り込む刑事でもいい。
同じ五人でも、聞く人が違えば、見せる顔が少しずつ違ってきます。
『霧走町 流氷に眠る』の第一章は、ブラウザで無料・インストールなしで遊べます。
この五人に、プロフィールのリンクから会いに行ってください。